No.631【アナフィラキーショック】

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半年に1回の、大腸癌手術後の追跡検診で、今日はCT検査を受けに病院にやってきた。

CT検査は、被検者が縦方向に動くベッドに仰向けに寝て、脚側にある大きなドーナッツの穴の中に入ったり出たりして診察をする。

ドーナッツに入る前にCTがしゃべるガイダンスに従って息を吸い、そして止めなければならない。レントゲンの時と同じ要領だ。

「息を吸って下さい・・・止めて下さい」

息を止めるとベッドが動き出してドーナッツの中を前後に移動するのだが、息を止めろと言われると妙に意識して、いつも咳き込みそうになるのだ。

検査は2度ほどドーナッツの中を出入りする。

2回目には〈造影剤〉なるものを注射される。投与されると身体がポ~ッと暖かくなるあれだ。これを打つと身体の中がより鮮明に見えるらしい。

今日の女性看護師さんは物凄く丁寧な説明をしてくれる人だ。

「気分が悪いとかはありませんか?今から腕をアルコール消毒しますがアレルギーなどはありませんか?」

「はい、大丈夫です。何回もCT検査受けてますけど、なんにもありませんでしたよ。タマ~にアナフィラキーショックとかが起こるらしいですね」

よせばいいのに、僕は素人の蘊蓄を披露した。

「そうですね、体調とかでタマに起きることがありますね。そこまでいかなくても、身体が痒くなったりすることもあります」

「僕は毎日酒で鍛えてるから大丈夫ですよ・・」

言ってからしまったと思った。自分でも寒くなるようなギャグじゃないか・・

「そうかもしれないですねぇ」

そんな馬鹿げたことがあるはずもないのに、それでもニコニコと応対してくれる看護師さん・・・

〈明らかな営業笑いだな・・・・あ~ぁ、調子に乗って言わなきゃよかった・・〉

・・・・・・・

ギャグは滑ったが、検査結果は良好だった。

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