クルマ好きの友人が、遂に、憧れのロータスヨーロッパを手に入れた。
それはイギリス本国仕様の「スペシャル」と呼ばれている右ハンドル車だった。黒いボディはFRPで出来ていて軽量を極めている。縁にはスペシャルを示す金色のラインが施されていた。
車高が物凄く低いと聞いてはいたのだが、実際に目の前にすると低いなんてものではなかった。
歩道の横で停車した時などは、女の子のミニスカートの中が見える程なんだと友人が言っていた。
ところが、憧れの名車を手に入れて、あんなに喜んでいた友人が、ある日浮かぬ顔をしている。どうしたんだと訊ねてみた。
「実はヨーロッパ買う時さぁ、不足分をサラ金で借金したんだよ。その伝票がカミさんに見つかってさぁ」
「で、どうなったの？」
「もう一週間も口を利いてくれないんだよ」
あぁ、哀れロータスヨーロッパオーナーの心は、愛車の車高よりも低く低く落ち込んでしまったようだ。
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