No.103【プジョーな女】

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友達がクルマを買ったというので、彼女はそれを見せてもらった。「プジョー205」というフランスのクルマだった。
なんだか日本車とは違ったデザインや雰囲気に、彼女はすっかり心を奪われてしまった。
「これカッコいいわねぇ!外車でしょ?」
「うん!フランスのクルマよ。いいでしょ!乗り心地もしっとりしてるのよ!」
「わたしもこんなのに乗りたいなぁ~」
「アンタんち金持ちなんだから買ってもらいなさいよ。これ、外車ん中じゃそんなに高いほうじゃないわよ」
・・・・・・・
プジョーがいたく気に入った彼女は、次の休日、外出したついでに思い切って車屋に行ってみることにした。
その通りは車屋通りと言われていて、日本車から外車まで色々な車屋がヒシメキ合っている通りだ。
《フランスのクルマかぁ~オシャレでカッコいいなぁ~》
そんなことを思いながら通りを歩いていると、フランスの国旗が旗めいている車屋を見付けたので彼女は入ってみることにした。
店内には5~6台のクルマが展示してあってピカピカと輝いている。
「いらっしゃいませ!」
営業マンが声を掛けた。
「あっあの~クルマをちょっと見に来たんですけど・・・」
「はいっ!そうですか!ありがとうございます。どうぞご覧になってください」
「あっ、ありがとうございます」
《え~と、これじゃないなぁ、こんな感じでもないし・・・》
首をかしげている彼女に店員が話し掛けた。
「あのぉ~お客様、どんなおクルマをお探しですか?」
「はいっ!ええとね・・フランス車でね・・・そうそう、前に着いてるマークがね、こんなダイヤモンドみたいなんじゃなくてぇ~ライオンのマークが着いてるヤツです!」
すると困った顔をした店員がこう言った。
「あぁ~ライオンね、申し訳ありませんが、ライオンのマークのクルマはウチでは扱ってはおりませんですねぇ・・・」
彼女はルノーの正規代理店に入っていた。

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