No.136【沖縄の海】

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初めて訪れた沖縄は、1月だというのに気温が24℃だった。紅色の桜や蘭が咲き誇っていた。

・・・・・・・

「只今バスは古宇利島の方に向かっておりますが、沖縄の海と本州の海では違うところがあるんです。なんだかお分かりでしょうか?」

観光バスのガイドの女の子が問い掛けた。

「は~い!色が違いま~す❗️本土の海はこんなに透き通ってないぞ~!」

ホロ酔い加減のオジサンが答える。

「はい、そうですね。色も違いますね。でも、もう1つ違うところがあるんですよ」

「・・・・・」

「はい、ではお答え致します。沖縄の海は磯の香りがしないんですよ。いわゆる、あの磯の香りというのは、実はワカメや昆布などの海藻の香りなんです。沖縄の海岸ではそれらの海藻が育たないので、あの海の匂いがないんです」

《へぇ~そうなんだ~》

私は感心した。

・・・・・・・

古宇利大橋を渡ってバスは島の駐車場に到着した。バスを降りて早速海岸まで行ってみたが、晴天に恵まれたこともあって海が本当に綺麗だ。白い砂浜を歩いていると、珊瑚の欠片が落ちている。

《ん?・・・あれはなんだ?》

手の平大の白い塊が転がっているのだ。恐る恐る拾い上げてみたら、それは干からびたハリセンボンだった。

碧い空、水色の透明な海。歩いているだけでも楽しい浜辺だ。波打ち際までいって海の水を手で掬って匂いを嗅いでみたのだが、ガイドさんの言ったとおり〈海の匂い〉がしない。

まだ海に触れただけなのに、私はもう沖縄の大ファンになっていた。

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