No.214【姪っ娘】

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家内の妹夫婦のところへ遊びに行った時である。

義妹夫婦は大変に喜んでくれて、私達夫婦を居酒屋に連れて行って歓迎会を開いてくれた。義妹夫婦には、長男・長女・次男と、3人の子供がいるのだが、子供達も皆んな一緒に付いて来た。

・・・・・・・

義弟が乾杯の音頭をとる。

「えぇ~今日は、遠くからお義兄さんとお義姉さんが来てくれました。では、皆様の健康と娘の留年を祝して、カンパ~イッ❗️」

《えっ!なになにっ?留年?祝して乾杯?》

聞けば、高校生の長女が留年をしてしまって、もう1回3年生をやらなければならなくなったのだというのだ。それにしてはヤケに明るい。

件の姪っ娘が言う。

「ウチ、アホやから留年してしもてんけどな・・せやけど修学旅行、もいっぺん行けんねんでぇ。エエやろっ?楽しみやわぁ~嬉しいなぁ」

なんと、ビクともしていないのだ。

続けて畳み掛ける。

「勉強なんかデキひんでもエエねん!なんとかなるわっ!」

超ポジティブである。

それを聞いた、父親である義弟が言う。

「お父さんもお前の元気な姿見て安心やわ。そりゃそうと、さっきからお前が飲んでんの酒ちゃうんかぃ!」

「なに言うてんのお父さん!これサワーやん、レモンサワーやんか!」

「レモンサワーッちゅうたら酎ハイやんけっ!ホンマしゃぁないヤッちゃなぁ、大丈夫かいな」

レモンサワーで勢いを付けた姪っ娘は大いに盛り上がっていた。

・・・・・・・

過日、自分の後輩だった連中と一緒に2度目の3年生になった彼女は、姉御肌を慕われて、寧ろクラスの人気者になったのだという。

「修学旅行、ホンマおもろかったでぇ~!1回目ウチが行ったとことチャウとこやったし、メッチャ楽しかったわっ❗️」

とは、2回目の修学旅行から帰ってきた時の彼女の台詞である。

勉強が大嫌いだった姪っ娘ではあったが、4年掛けて〈無事に〉高校を卒業したそうだ。他の2人の兄弟が大学に行ったことなどは、全く問題にしてはいないのだった。

彼氏も出来て、今は歯科助手として立派な社会人生活を送っている。


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