No.234【金魚】 Uncategorized X Facebook はてブ Pocket LINE コピー 2022.09.12 ペットと言っていいのかどうかは微妙だが、結婚してから初めて飼ったのが金魚だった。ショッピングセンターのペットショップを何気なく歩いていたところ、金魚フロアで〈黒紫色のオランダシシガシラ〉が目に留まったのだった。家内と相談して飼うことを決めたのである。金魚と一緒に、アクリル製の〈横に長い水槽〉や〈エアーポンプ〉水槽の下に敷く〈小玉砂利〉に〈水草〉や〈餌〉も買い込んだ。・・・・・・・家に帰って早速水槽に水を張り、玉砂利やポンプなど、買ってきた小物類をセットしたあと、袋の中のオランダシシガシラをソッと水槽の中に放してやると、透き通った水の中をヒラヒラ泳ぐのだった。その姿は優雅で実に美しかった。そのオランダシシガシラは、泳ぐ時に右側にだけピクピクと頭を降ることから〈たけし〉という名前が付いた。・・・・・・・さて、金魚を飼うのは、餌をやって、タマに水を替えてやればいいくらいなのだと高を括っていたのだが、実際に飼ってみると、これが中々に手が掛かることを知った。水交換が大変なのだ。水がすぐに汚れるので頻繁に水を交換してやらなければならかった。大きな水槽を買ったので結構な重労働なのだ。交換中にはタケシをタライに引っ越しさせてやらなければならないのも面倒だった。水槽がデカイこともあるし、1匹では寂しいので、金魚の数を徐々に増やしていった。〈黒出目金〉やフナ系の〈コメット〉から始まって、最終的には3ヶ月の間に、ヒラヒラ系とフナ系の金魚を合わせて20匹ほどになった。その結果、フナ系がヒラヒラ系を追い回して苛めるし、動きの遅いヒラヒラ系はフナ系に先に餌を食われてしまうし、大量の糞で水がすぐに汚れて不衛生にはなるし、いいことは1つもなかった。挙げ句には黒出目金がフナ系の攻撃を受けて右目がブラブラにはなるし、終いには水槽内に病気が発生するしで最悪の状態になってしまった。慌てて水槽を買ってきてフナとヒラヒラを分けたのだが既に遅かれしといった感じだ。金魚たちにはカビが生えてきて体が白くなり、いよいよ弱ってきてしまった。取り分けヒラヒラ系のタケシと黒出目金の衰弱が激しかった。堪らず薬を投入すると、これが強い薬で、水が毒々しい濃い青色になった。・・・・・・・数日後、金魚たちは1匹づつ死んでいった。家内はその度にイチイチ泣いた。・・・・・・・水道水を直接使ってはならないこと、餌を大量に与えてはいけないこと、フナ系とヒラヒラ系は一緒には飼わないこと、沢山の金魚を水槽に入れないことなどなど、やってはいけないことを全部やっていたことか判ったのは、金魚が総て死んでから後のことだった。
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