No.638【ボタン付け】

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糸がほぐれてジャケットのボタンが外れそうになっていたので、針と糸を出してきて繕った。

今がどうなのかは知らないが、僕が中学校の時には、男子も〈家庭科〉で裁縫を習ったから、ボタン付けくらいは出来るのだ。

だから玉結びも知っているし、ボタン付けの最後に生地とボタンの間の糸をグルグル巻きにして、裏で玉止めすることも知っている。そんなに難しいことではない。チョッとだけ苦労するのが、老眼で近くが見え難くなった眼で針に糸を通すことくらいだ。

当時、中学校では男子に家庭科を教え、女子には木工技術を教えた。男女平等という戦後の教育方針に則ったカリキュラムだったのだろう。

しかし今思えば、一見優しそうな男女平等という教育理念は、果して正しかったのだろうか・・

まぁ、男子の裁縫や女子の木工なんかはご愛嬌としても、あまりにも男女の平等を叫び続ける現在の風潮は異常だと言わざるを得ないのだ。

男は男・・女は女でいいじゃあないか。

ボタンを付けながら、ふとそんなことを思ったのである。

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