No.81【ニコル】

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名前はニコルという。よくしゃべる。娘が雛から育てた雄のセキセイインコだ。
ニコルはケージから出ると、どういう訳だか僕にばかりまとわりつく。
《なにか話してくれ》と言わんばかりに口元に近づいてきたり、手や頭にとまったり肩に乗ったりして嬉しそうに遊んでいる。
他の家族が「こっちにおいで」と言って人差し指を近づけたりしようもんなら「ガガガッ!」っと噛みついて攻撃する。
なかなか可愛い。
そんな感じで僕を好いてくれるのはいいのだが、ただ、手やら耳やら頬っぺたやらを、やたらに甘噛みするのには閉口する。インコの嘴は鋭いので、本鳥(本人)は甘噛みのつもりでも噛まれたら非常に痛いのだ。
少し血が出ることもあるし、噛まれた痕はシミになってしまうくらいなのだ。
その夜もまとわりつかれて、なかなかケージに返えろうとはしないので困っていた。
風呂にも入らないといけないし・・・
「おい、ケージに入らんぞ。しゃぁない、ニコルッ!今から一緒に風呂に入ろうか?」
「ダメダメッ!あそこ噛まれるよ!」
家内に止められた。

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