No.198【オデコの傷】

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娘が2歳の時である。右眉毛の上に貼ってある〈傷テープ〉を自分で指差しながらしきりに言うのだ。

「ダンコオチタノコエ・・・」

家内が慰める。

「うんうん、〇〇ちゃん痛かったねぇ~・・ダン・・・・?」
「ダンコオチタノコエ・・」

意味不明の娘の言葉・・僕は家内に訊いてみた。

「・・・なんか意味があるんかなぁ?公園で転んで、ここ怪我したんだよなぁ・・」
「そうなのよ・・ごめんなさい、あたしがちょっと目を離した時にブランコから落ちてね・・ごめんなさい」
「えぇ?ブランコで遊んでたんか・・・あっ!・・」

僕は娘の〈傷テープ〉を指しながら言った。

「ブランコ落ちたの?これ」

すると頷きながら再び〈傷テープ〉を指差しながら娘が言う。

「ダンコオチタノコエ~」
・・・・・・・
女の子なので、目立つような傷が残らなければいいがと夫婦で心配をしたのだが、幸いその傷痕は段々と薄くなっていって殆んど見えなくなっていった。
やがて成人した娘には素敵な彼氏も出来て、今では楽しい結婚生活を送っている。

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