2022-08

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No.105【酔っ払い】

若い頃はよく酒を呑んだものである。その夜もヘベレケになってタクシーに乗ったのだが、途中で気持ちが悪くなってきた。吐きそうだ。「運転手さん!どっか空き地があったら停めて下さい!」「どうしました?」「・・吐きそうなんです、すいません・・吐いたら...
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No.104【戦争ゴッコ】

小学校の裏手には小高い山があって、そこはちょっとした公園になっていた。春になると沢山の桜が咲いて花見客で賑わい、夏になるとカブトムシやクワガタムシが獲れた。秋には木々が紅葉し、冬になって雪が積もるとミニスキー場にもなったので、その公園は老若...
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No.103【プジョーな女】

友達がクルマを買ったというので、彼女はそれを見せてもらった。「プジョー205」というフランスのクルマだった。なんだか日本車とは違ったデザインや雰囲気に、彼女はすっかり心を奪われてしまった。「これカッコいいわねぇ!外車でしょ?」「うん!フラン...
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No.102【カブ】

小学生の時である。日曜日に友達数人で中学校のグラウンドに遊びに行った。グラウンドでは高校生のお兄ちゃん達3人がカブ(HONDA―スーパーカブ号)に乗って遊んでいた。当時は自家用車の普及もまだまだで、バイクでも珍しいような時代だった。世相は実...
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No.101【フルートの恩】

若い時は大体が貧乏である。私も例外ではない。では、今はどうなんだと問われれば、無論、今もそうである。・・・・・・・・その当時、私は東京北区滝野川の安アパートに住んでいた。アルバイトで稼いではいたのだが、給料日前にもなると、決まって金欠病にな...
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No.100【入浴剤➁】

ローズピンクの入浴剤を入れて風呂に入った。ピンク色の湯を透して見える身体がなんだかエロッぽいではないか!私は色白なのだ。男1人で興奮してどうする❗️風呂上がりにそのことを家内に言った。「あっそ!」と返事があった。
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No.99【副支配人の粗相】

その御夫妻が大きなホテルで媒酌人を務めるのは初めてのようだった。・・・・・・・・新郎新婦と媒酌人御夫妻の入場が終わって、200人を越える規模の披露宴会場の、ひときわ高い位置にある高砂の席に4人は着席した。媒酌人の挨拶が終わって着席する時に、...
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No.98【社長の馬】

ホテルに勤めている彼は競馬好きだった。ある日、常連客である東京の大きな会社の社長がそのホテルに宿泊した。その社長も競馬好きでホテルマンの彼とは懇意にしている。・・・・・・・「〇〇くん、オレの馬がG1レースに出るんだけどさぁ、どうだい、今度の...
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No.97【入浴剤①】

家内と買い物に出た。入浴剤が切れていたので、どれにしようかと2人で物色した。「おい、なに味にしようか?」「父さん、これど~ぉ?リンゴの香りだって!」「え~っ!甘そうで、浸かったら糖尿になりそうじゃないか」「なに馬鹿なこと言ってんのよ」「醤油...
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No.96【蕎麦の洗礼】

東京で生活し始めた若い頃、1人で蕎麦屋に入って「ざる蕎麦」を注文したことがある。やがて運ばれてきた「ざる蕎麦」には如雨露のような物が添えられてあった。《なに?これ・・・》と思って蓋を開けてみたら、白く濁ったスープのようなものが入っている。「...