2022-08

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No.85【壁】

若い頃は随分と酒を飲んだものである。ある日、居酒屋を梯子したあとに友人と分かれ、〆めに何かを食べようかと思ってひとりでファミレスに立ち寄った。その時点でも相当に酔っ払っていたのだが、頼んだステーキが来るまでに、場繋ぎでさらに生ビールを呑んで...
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No.84【ミラの女】

雪の降る地方では、今でこそスタッドレスタイヤが主流だが、昔は皆んなチェーンを巻いて雪道を走っていたものだ。チェーンの脱着はけっこう面倒な作業だった。その女の子の愛車は真っ赤なダイハツミラだった。やがてその街にも雪が降って道路に積もったので、...
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No.83【こみや】

是非は兎も角として、息子が小学校の時に性教育の授業を受けてきた。「母さん、女の人のお腹の中には、こみやがあるんだよね」「こみや?えぇ~っ?なにそれ~?」「え~っ?女なのに知らないの?これこれ」そう言って息子が小冊子を出して指差したところには...
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No.82【クルマの基準】

娘が運転免許を取ってから間もないころ、中古車でいいからどうしても自分のクルマが欲しいというのでクルマを見に行った。すると展示場に行くや、娘は1台のクルマを指差してこう言った。「お父さん、これがいい❗️私、自分で買う❗️」見ればパール色の《日...
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No.81【ニコル】

名前はニコルという。よくしゃべる。娘が雛から育てた雄のセキセイインコだ。ニコルはケージから出ると、どういう訳だか僕にばかりまとわりつく。《なにか話してくれ》と言わんばかりに口元に近づいてきたり、手や頭にとまったり肩に乗ったりして嬉しそうに遊...
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No.80【駅】

少年時代に住んでいた街の駅には複数の路線が集まっていて、空港風に言えば、そこはちょっとしたハブ空港のような駅で、広い構内には沢山の線路が入り交っていた。当時は蒸気機関車全盛の時代で、貨物の牽引等にディーゼル機関車がたまに見受けられたくらいだ...
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No.79【重いハンドル】

その女性はピアノやエレクトーンの講師をしていて、楽器店の教室や個人レッスンの生徒宅に行くのにマイカーを使っていた。レッスンが終わったある日、他に予定もないので、そのまま自宅に帰ることにした彼女はクルマに乗り込んで発進させた。・・・・・・・・...
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No.78【MR2の女】

まだ日本の景気が良かった頃だ。バブルに浮かれてひとりの女の子がMR2を買った。ところがある日のことMR2が動かなくなってしまったのだった。いくらセルを廻してもエンジンが掛からない。やがてバッテリーも上がってしまった。PHSが繋がったので彼女...
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No.77【缶酎ハイの女】

家内は結構な酒好きである。特に缶酎ハイが好きである。普段はアルコール度数が5%の物を飲んでいるのだが、ある日、気まぐれで買ってきた度数9%の酎ハイをグビグビ飲んだあとに家内が言った。「プッハ~ッ!こりゃ旨いわ!今まで飲んでたの、馬のションベ...
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No.76【ラジコン機】

浜松の遠州灘には中田島砂丘という所があって、休日ともなると大勢のラジコンマニアがやって来て飛行機を飛ばしていた。初心者からベテランまで色々な「パイロット」がいた。ラジコンクラブの会長が操縦する零戦は、それは華麗な飛行を披露してギャラリーの喝...